【小学5年生でここまでできる「福祉ボランティアを学ぼう」 全10時間】へ
第1時 アイマスクをして目が見えない人の疑似体験をしよう
第2時 介助の方法を学ぼう
第3時 アイマスクをして食事をしよう
※本実践は「思いやりの心をもち,たくましく実践する子どもの育成」(美方郡村岡町立村岡中学校)の実践を小学校5年生用に修正追試させていただきました。
第2時 介助の方法を学ぼう
ねらい
o廊下,階段,教室などで介助の模擬体験をし適切な介助の方法を知るようにする。
o目が不自由な人への理解と関心を引きだすようにする。
具体的実践
(1) 介助の方法を学ぶ…援助をする体験
体育館に集まる。
「この前,みんなは,このアイマスクを使って目が不自由な人のなりきり体験をしました。」
同じ種類のシャンプーとリンスを子供たちに見せて尋ねる。
発問1 これは形が全く同じです。
目の不自由な人は区別できるでしょうか。
できる,できないどちらかに手を挙げなさい。
「できるという人?」 34人
「できないという人?」 3人
「できないという人」は,目が見えないのだから,同じ形の容器では区別できないという。
「できるという人」は,
・一度出して手触りで区別する。
・ふたのところに点字がかいてある。
・ふたや横にぼこぼこがある。
・シャンプーの横にギザギザの線がある。それで区別できる。
と主張する。
そこで,Sさんにアイマスクをして,百発百中で区別できるかやらせてみた。
3回やって3回とも正解する。
説明 このシャンプーは目の不自由な人にも区別できるように刻みがつけてあります。
実は,このギザギザははじめからついていたわけではありません。
今から8年前,目の不自由なお姉さんをもつ妹さんが,「うちのお姉さんは,髪を洗うときよくシャンプーとリンスを間違えて困っています。なんとかなりませんか。」とメーカーに手紙を書いたことから始まったのです。会社は2年間かけて研究しました。研究開発費も莫大なものでした。
シャンプーのギザギザをつけるだけでもお金はかかるのです。
こういうことをやっているのは日本だけです。すごいでしょ。
外国のシャンプーはギザギザがつけてありません
これ以外にも,お札,ビールの缶,テレホンカード,カセットテープなどもちゃんと工夫してあります。(実物を見せて説明する)
発問2 今度はみんなの番です。みんなもこのシャンプーのぎざぎざのように目の不自由な人を上手にサポートすることができるといいですね。
目の不自由な人が立ったまま困っておられます。
一緒に歩いていこうと思います。こういうのをサポートというのです。
どちらがやさしいサポートでしょうか。
A 黙って案内する。
B 話しかけながら案内する。
挙手で確かめる。
A…3人 B…34人
説明 Bがいいのです。「もうすぐ階段ですよ」とか「もうすぐ階段が終わりますよ」と,話しかけながらしましょう。
発問3 では,どれが正しいサポートの仕方でしょうか。
A 手を引いてあげる。
B 背中をやさしく押してあげる。
C 肩や腕を持ってもらう。
挙手させる。
A… 5人
B… 1人
C…31人
指示 どの方法が目の不自由な人に一番安心を与えるか実際に試してもらいます。
10分間です。
10分後,もう一度挙手させて確かめる。
A… 5人
B… 0人
C…32人
説明 Aの方法だとこわくて腰が引けてしまいます。
Bの方法だとサポートする人が後ろになってしまいます。
Cの方法だとサポートする人が少し前を歩くことになります。
Cの方法が安全なのです。
サポートする人の肩や腕の動きで道のでこぼこや障害物に気づくことができるのです。またCの方法は目の不自由な人は,自分のペースであることができます。
止まりたいときも,サポートする人の方を引っ張って知らせることができます。
指示 では実際に次のコースを歩いて練習しましょう。
二人一組で行います。
「ここは階段がありますよ」「階段は終わりですよ」とか声をかけてあげましょう。
右や左に曲がるときも声をかけてあげましょう。
コースはAコースとBコースがあります。
Aコースは@からIグループです。
体育館→1階廊下→東階段→職員室前廊下→西階段→体育館です。
戻ってきたら交代です。
BコースはJからRループです。
体育館→西階段→職員室前廊下→東階段→1階廊下→体育館です。
戻ってきたら交代です。
二人とも終わったらワークシートに感想を書いていましょう。
発問4 サポートの仕方は分かったけれど,サポートする前に目の不自由な方にする
とても大切なことがあります。それはいったいなんでしょうか。
説明 サポートする前に声をかけて相手の話をよく聞くことです。
英語でいうと「May I help you?」です。
これは世界の共通語です。
日本語でいうと「何かお手伝いすることはありませんか」です。
声をかけないでサポートを始めるのは相手の人が大変びっくりされるし,失礼に当たるのです。